こんにちは。北九州市小倉北区にある坂口歯科・矯正歯科です。
子どもの矯正治療である小児矯正について「何歳からはじめたらいいの?」「どんな歯並びの場合、相談すべきなの?」といった質問を受けることがあります。小児矯正は限られた時期だけにできる治療なので、保護者の方は正しい知識をもつことが大切です。
今回は、小児矯正で対応できる年齢や症例について解説し、小児矯正のメリットやデメリットについてもお話しします。
小児矯正は何歳から何歳まで?
小児矯正は成長期の子どもに対して行う矯正治療のことをさします。子どもの場合、乳歯が生えてきてやがて永久歯に生え変わり、すべての歯が永久歯になって大人と同じ状態になります。
成長の段階ごとにアプローチの方法が異なるのが小児矯正の大きな特徴です。段階に合わせて0期治療、1期治療、2期治療と治療内容がわけられています。
それぞれの対象年齢と、治療内容は以下のとおりです。
0期治療
すべての歯が乳歯の子どもを対象とした矯正治療で、年齢の目安は3~5歳です。噛み合わせの改善や、指しゃぶりや口呼吸などの歯並びに悪影響を及ぼす口周りの癖を改善します。
1期治療
永久歯への生え変わりが始まっており、乳歯と永久歯が混在している子どもを対象とした矯正治療です。年齢の目安は6歳~12歳です。
この時期に、顎の骨が小さいため将来的に永久歯が並びきらないと判断された場合は、成長を利用して顎の骨を広げてスペースをつくる治療をします。受け口や出っ歯の治療もこの時期に行うケースが多いです。
2期治療
すべての永久歯が生えそろった後に行う治療のことで、対象年齢13歳以降とされています。治療内容は成人矯正と同じです。
0期治療や1期治療をしている場合でも、2期治療が必要なケースもあります。その場合は、2期治療のみを行うよりも治療期間が短くなることが多いです。
小児矯正の期間はどれくらい?
小児矯正の治療期間の目安は、それぞれ以下のとおりです。患者さまのお口の状態や治療を開始したタイミングにもよるので、目安として参考にしてください。
・0期治療:1~2年程度
・1期治療:1~3年程度
・2期治療:1~3年程度
矯正治療によって計画通りに歯が動いた後に、治療にかかったのと同程度の保定期間が必要です。歯は自然と元の位置に戻ろうとするので、保定装置(リテーナー)を装着して固定しなければなりません。
小児矯正を検討すべき症例とは?
子どものうちから矯正治療が必要な症例はどのようなものなのでしょうか。具体的な症例は、以下の通りです。
受け口
受け口とは、本来の噛み合わせと逆になっている状態のことです。反対咬合とも呼ばれています。通常、歯が噛み合った時は上の歯が下の歯を軽く覆います。
しかし、受け口の場合は下の歯が上の歯よりも前に出ます。受見た目がよくないだけではなく、食べ物が噛みにくいというデメリットがあります。
出っ歯
出っ歯とは、前歯がでているように見える、あるいは実際にでている状態をさします。日本人には比較的多い症状です。
指しゃぶりや口呼吸など、口周りの悪い癖によって出っ歯になってしまうことがあります。そうした場合は、トレーニングや矯正治療によって改善することが可能です。
前歯が噛み合っていない
奥歯が噛み合っている時に、前歯が噛み合っていない状態のことを開咬(かいこう)といいます。この場合、前歯から息がもれてしまうため、発音に支障がでてしまうこともあります。
指しゃぶりや口呼吸など、口周りの悪い癖が原因となるケースが多いです。
噛み合わせが深い
奥歯を噛みしめた際、下の前歯がほとんど見えないほど、下の前歯を覆っている状態のことを過蓋咬合(かがいこうごう)といいます。早い時期に乳歯の奥歯を失ったことが原因になるケースが多いです。
顎の動きに支障がでるため、顎の関節や歯茎に痛みがでることもあります。早期に治療を始めるべき症例と言えるでしょう。
噛み合わせの一部が逆になっている
通常は下の歯は上の歯に覆われますが、一部の歯の噛み合わせが逆になっているのが交叉咬合(こうさこうごう)です。成長と共に顎が徐々に曲がってしまうこともあり、大人になって治療すると外科矯正が必要なこともあります。
小児矯正のメリット
子どものうちに矯正治療を始めると、さまざまなメリットがあります。
抜歯せずに歯を整えられる可能性が高くなる
成人矯正の場合は、永久歯への生え変わりも顎の骨の成長も終わっているので、顎の骨を広げてスペースをつくることはできません。そのため、歯を動かしただけでは歯を並べることが難しい場合は、抜歯することになります。
成長期のうちに矯正治療を開始すれば、顎の骨を広げる治療も可能です。矯正治療によって健康な歯を失う可能性は低くなります。
虫歯や歯周病のリスクを軽減できる
歯並びが悪いと歯磨きがうまくできない箇所が増えてしまうので、それだけ磨き残しが生じやすくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まってしまうでしょう。
子どものうちに歯並びを整えておけば、虫歯や歯周病になりにくい口内環境に整えられます。
治療期間を短縮できることがある
小児矯正からはじめても、歯並びの状態によっては成人矯正が必要なケースもあります。
しかし、事前に小児矯正をして永久歯が並ぶスペースを確保できていれば、何もしていない状態よりはスムーズに治療が進みます。ある程度歯並びが整っていることも多いので、大きく歯を動かす必要はないでしょう。
また、小児矯正から治療を受けている場合、成人矯正の費用を割引する歯科医院が多いです。継続して治療を受ければ、経済的な負担も減らせるかもしれません。
外科手術のリスクを低減できる
成人矯正では、骨格によっては顎の形まで治療する必要があり、その場合は外科手術を行うこともあります。小児矯正では顎の骨の成長をコントロールできるため、外科手術を避けられる可能性が高いです。
早期に口周りの悪い癖を改善できる
口呼吸、指しゃぶり、頬杖など、歯並びに悪影響を及ぼす癖は、早いうちに改善することが大切です。小児矯正では、そうした口周りの悪い癖にアプローチするトレーニングも行います。
歯並びに悪影響を及ぼす癖が改善されることで、成人矯正の必要がなくなることもあるでしょう。
早いうちにコンプレックスを解消できる
大人になってからでも矯正治療は可能ですが、治療が遅くなればそれだけ歯並びや噛み合わせが悪い状態で過ごす期間は長くなります。歯並びが悪いとコンプレックスに感じることもありますので、早いうちに改善したほうがいいでしょう。
小児矯正のデメリット
メリットの多い小児矯正ですが、以下のようなデメリットもあります。
子どものモチベーションの維持が重要
特に小さい子どもの場合、小児矯正の意義を本人が認識することは難しいです。矯正装置を装着したり、トレーニングしたりするのを嫌がってしまう子どもも非常に多いです。
お子さまの歯並びを改善するためには、お子様はもちろん保護者の方の協力も欠かせないでしょう。取り外しできる装置を使用する場合や、自宅でのトレーニングが必要な場合もありますが、協力して取り組むことが重要です。
お子さまが前向きに矯正治療を続けられるようサポートしてあげる必要があるでしょう。
見た目が一時的に悪くなる
歯が動いている最中は、一時的に歯並びが乱れたように見える時があります。また、矯正装置によっては口を開けた際に目立ってしまい、それが気になる子どももいるでしょう。
1期治療で終わらないこともある
1期治療では、直接歯を動かす治療は基本的にしません。歯がきれいに並ぶための土台を整える治療と考えたほうがよいでしょう。
そのため、歯並びの乱れが完全に改善されるとは限りません。1期治療を終えても、その後2期治療が必要になるケースもあります。
しかし、多くの場合、1期治療をしていると2期治療の治療期間は短くなります。土台が整っているので、微調整で歯並びが改善されることが多いためです。
治療中は虫歯のリスクが高くなる
固定式のワイヤー矯正の場合は、装置の周囲の歯磨きが難しいため、虫歯のリスクが高まってしまいます。治療中のセルフケアは徹底しましょう。
まとめ
小児矯正には、子どもの成長に合わせて段階があります。すべての歯が永久歯に生え変わるまでの12歳頃までは1期治療にあたり、顎の骨にアプローチする治療も可能です。13歳以降からの2期治療は成人矯正と同じ内容を行います。
受け口、出っ歯、噛み合わせに問題があるといったケースは、成長段階で行える治療内容が変わります。早めに歯科医院に相談し、お子様にあったタイミングで治療を始めましょう。
小児矯正を検討されている方は、北九州市小倉北区にある坂口歯科・矯正歯科にお気軽にご相談ください。