こんにちは。北九州市小倉北区にある坂口歯科・矯正歯科です。
こどもの出っ歯を放置すると、将来的にさまざまな問題を引き起こす可能性があります。出っ歯の矯正治療は、見た目だけでなく、お子さまの健康を守るためにも重要です。
今回は、こどもの出っ歯の原因と、将来の健康にどのような影響を及ぼすのか詳しく解説します。矯正治療の必要性や、治療方法、期間、治療費用もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
出っ歯とは?
出っ歯とは、歯列異常の一つで、上下の歯の噛み合わせが正常でなく、特に上顎(上の歯)が前方に突き出ている状態のことです。上顎前突(じょうがくぜんとつ)ともよばれます。
上顎が前方に突出しているため、口元が前に突き出て見える、下顎が後退して見えるなど、審美性に大きく影響します。
出っ歯が口元の見た目や全体的な健康に及ぼす影響には個人差があるため、状態の正確な診断と適切な治療が非常に重要です。
こどもが出っ歯になる原因
出っ歯になる原因は、以下のとおりです。
口周りの癖がある
こどもの出っ歯が発生する原因として、口周りの癖が挙げられます。特に多いのは指しゃぶりでしょう。
指しゃぶりが続くと、前歯が前方に傾斜することで出っ歯になります。また、舌を前に突き出す習慣も、出っ歯の原因となり得ます。
軽い力が歯並びに影響を及ぼすとは思えないかもしれませんが、実際に口周りの癖が出っ歯を引き起こすケースは少なくありません。長時間力がかかり続けると、歯が動くのです。
鼻呼吸ではなく口呼吸をしているこどもも、出っ歯のリスクが高まります。
歯と顎のサイズのバランスが悪い
こどもが出っ歯になる原因は、必ずしも悪い癖だけではありません。歯と顎のサイズのバランスが原因となることもあります。
特に、上の歯が全体的に大きい場合、歯を並べるために必要なスペースが足りず出っ歯になることがあります。歯のサイズと顎のスペースが不釣り合いな場合、出っ歯の症状が現れるのです。
こどもの出っ歯を放置するリスク
こどもの出っ歯を放置するリスクを確認しましょう。
見た目にコンプレックスを抱く
口を閉じた際に唇から前歯がはみ出る状態では、見た目にコンプレックスを抱えやすくなります。社交性に影響を及ぼし、引っ込み思案な性格を形成するかもしれません。
発音に影響が出る
こどもの出っ歯を放置すると、発音にも影響を及ぼすことがあります。サ・タ・ラ行の発音は、舌を上の歯に当てて行います。
出っ歯の場合、前歯が突出しているため空気が抜けやすく、きれいに発音するのが難しくなるのです。
言葉はコミュニケーションの基本であり、正確な発音は非常に重要です。出っ歯による発音の問題は、こどもの言語能力の発達にも悪影響を及ぼす可能性があるでしょう。
虫歯や歯周病のリスクが高まる
出っ歯は、口をしっかり閉じるのが難しくなることがあります。口が常に開いていることで、口の中が乾燥しやすくなります。
口内が乾燥すると虫歯菌が繁殖しやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まるのです。口呼吸が続くことで、呼吸器系の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
胃腸に負担がかかりやすい
前歯には、食べ物を噛み切る重要な役割があります。出っ歯の場合、食べ物をうまく噛み切れません。
大きな塊のまま胃腸に送られることになります。消化不良を引き起こす原因となり得るでしょう。
こどもの出っ歯を矯正する方法
小児矯正にはさまざまな治療法が存在します。詳しく確認しましょう。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、金属のワイヤーとブラケットを用いる方法です。長い歴史と実績を持ち、出っ歯を含むほぼすべての歯並びの問題に対応可能です。
通常、永久歯が生え揃ってから行う2期治療で使用されます。
マウスピース矯正
口周りの筋肉の発達を促進し、自然な歯列へと導く治療法があります。シリコン製のマウスピースを使用し、日中1時間と就寝中に装着することで、歯並びの改善を目指す治療です。
学校や外出先などの公共の場で装着する必要がないため、こどものストレスや負担を軽減できることが大きなメリットです。
マウスピースの装着とあわせて、MFT(口腔筋機能療法)という特別なトレーニングを行います。口呼吸や指しゃぶり、舌の癖などの問題も改善できるでしょう。
特に5~15歳のこどもに適しており、出っ歯だけでなく口腔機能全体の健康を促進できます。マウスピースと筋機能療法の組み合わせることで、出っ歯の根本的な原因を改善するのです。
こどもの出っ歯を矯正するためにかかる期間
こどもの出っ歯を矯正する際の治療期間は、治療を開始する時期によって異なります。顎の成長を利用する1期治療では、通常1~2年程度必要です。
1期治療では出っ歯の改善が十分でない場合や、より細かい歯並びの調整が必要な場合は、2期治療が必要になります。2期治療の期間は、1~3年程度が一般的です。
こどもの出っ歯を矯正するためにかかる費用
こどもの出っ歯を矯正するためにかかる費用は、以下のとおりです。
・ワイヤー矯正:700,000~1,000,000円
・マウスピース矯正:200,000~700,000円
費用は歯科医院によって異なるため、詳細は直接確認しましょう。
こどもが出っ歯になるのを防ぐ方法
こどもが出っ歯になるのを防ぐ具体的な方法をご紹介します。
日常の癖を改める
こどもが出っ歯になるのを防ぐためには、日常生活における小さな癖に注意することが重要です。こどもは無意識のうちに指しゃぶりなどの行動をとることが多く、口周りの筋肉や顎の発達に悪影響を及ぼすことがあります。
特に、以下の癖がある場合は、早めに改善することが大切です。
・3歳を過ぎても指しゃぶりやおしゃぶりの癖が続いている
・姿勢が悪く猫背になっている
・頬杖をつく
・うつぶせ寝をする
・爪を噛む癖がある
食事中にこどもの姿勢が猫背になっていないかをチェックしてあげましょう。
小学生になると、机に座って頬杖をつく癖がつくことがあります。片方の顎に力が加わり、顎の変形や歯の傾きを引き起こすので注意が必要です。
口周りの筋肉や顎の発達を促す
乳幼児期には、母乳を飲ませることが推奨されています。母乳を飲む際に必要な吸う力と嚥下(えんげ)する力が、口唇や口腔周囲筋などの口周りの筋肉の発達を促し、顎の大きな発達に役立つからです。
口周りの筋肉が発達することで口腔内の機能が向上し、歯が正しい位置に生えるためのスペースを確保できます。最近では、母乳のように力を入れて吸わなければならない哺乳瓶も市販されているので、活用を検討してもよいでしょう。
幼児期(1歳から小学校入学まで)には、顎や口周りの筋肉の発達を促すために、硬いものを食べさせることが大切です。ナッツ類やりんご、梨、おせんべいなどの硬い食べ物をおやつとして与え、よく噛む習慣をつけましょう。
1口につき30回程度噛むことを習慣にすると、口周りの筋肉が発達します。歯並びの悪化を予防するだけでなく、唾液の分泌が促進されて虫歯の予防にもつながるでしょう。
前歯で噛み切り、奥歯でしっかり噛んでから飲み込む練習を行うことも重要です。
舌の位置を正す
こどもが出っ歯になるのを防ぐためには、舌の位置に注意することが重要です。舌の正しい位置は、上の前歯の裏側についている状態とされています。
食事の変化や日常の癖により、舌の位置が本来あるべき位置よりも低くなる「低位舌(ていいぜつ)」になっているこどもが多くなっています。舌の位置が低くなると口呼吸になりやすく、顎の成長に影響を及ぼして出っ歯になる可能性があるでしょう。
こどものうちから正しい舌の位置を覚えるトレーニングを行うことが大切です。舌、唇、口周りの筋肉が適切に発達することで、歯並びの土台となる上顎の成長を促せます。
鼻呼吸を意識する
こどもがリラックスしている際に口がポカンと開いている場合、口呼吸になっている可能性が高いです。口呼吸が習慣になると、顎や舌の位置が下がります。
口周りの筋肉や顎の骨が十分に発達せず、噛み合わせが悪くなって出っ歯になるリスクが高まるでしょう。
口呼吸によって口腔内が乾燥すると、虫歯や歯周炎になるリスクが高まるだけでなく、アレルギー症状を引き起こしやすくなるなどの身体への健康リスクも増えます。口呼吸の習慣がある場合は、口周りの筋肉を鍛えるトレーニングを行って鼻呼吸に改善することが重要です。
定期的に歯科医院を受診する
乳歯が生え始めた頃から、定期的に歯科医院で検診を受けましょう。乳歯は自然に抜けるから虫歯になっても問題ないと考える方が多いですが、適切なケアを怠ると永久歯の歯並びが悪化することがあります。
また、こどもが外傷や虫歯で歯を失うと、あいたスペースに隣の歯が移動して歯並びが乱れることもあるでしょう。そのため、専門家の診察を受けることが大切です。
まとめ
こどもの出っ歯の原因は、指しゃぶりや舌の癖、口呼吸などの習慣によることが多いです。口周りの筋肉や顎の発育に影響し、歯並びの悪化や不正咬合を引き起こすリスクがあります。
出っ歯を放置すると、見た目の問題だけでなく、発音や消化など健康面にも影響を及ぼすため、早めに対応しましょう。
こどもの出っ歯の矯正を検討されている方は、北九州市小倉北区にある坂口歯科・矯正歯科にお気軽にご相談ください。